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2010年4月21日 (水)

同じものを作ること

器を挽く時に私は 型等は使わない。器の大まかな形は頭に入れてあって あとは その場の感覚で削ります。 

もし私が 何個も 同様のデザインのものを続けて挽くとすると

最初の時は 新鮮味があって 熱中するけど きっとそのうち飽きてくるんだと思います。

飽きてくるとだんだん器から気持ちが遠のいていくのです。

そうなると器の質が落ちることになるんです、つまりその器に対して自分の力の全部を出し切らないうちに形にしてしまうのですから。

その時に型があればある程度きちっと引き締まった形の器が何枚挽いてもできるのでしょうが型が ないというのはこういう時に弱点になるんですね。

しかし同時に同じデザインの器を何枚も挽くということは技術の向上を促進するものでもあります。同じことを繰り返すうちにだんだん要領が良くなってくるのです。

そういう意味では非常に意味があります。

同じことを繰り返すことは単調なことでもあり ステップアップともなるわけです。

技術的な向上か それとも単調な作業の繰り返しとして意欲の減退になるかです。

どちらになるかは私の気持ち次第ですね。

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デザート用 フラワーボール

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2010年4月19日 (月)

もう1つの仕事

話が少しなりますが お付き合いください。

むか~し、まだ私が小学生だった頃 = 私は当時 東京の大森という下町に住んでいました。

そして その当時 あまり裕福ではありませんでした。ベーゴマを自分でやすりがけして削ったりしていつもよそから遠征に来るベーゴマフレンドには勝って勝って半ズボンのポケットにはゲットしたベーゴマがじゃりじゃり溜まってズボンがずり落ちるほど”稼ぎ” また ザリガニ捕りは 人一倍うまかったのですが お金には当時から縁がなかったのです。

そんな大森で早朝にあさりを売り歩くアルバイトが私の年頃の子どもの間で人気がありました。

そのアルバイトは 友達の友達、といった人間関係の距離にある人をとおして 大森の海岸近くであさりを卸す店があり、そこからあさりを買い取って自転車で売り歩く、それも早朝です。子供にとっては 現金のやり取りをするわけですからとても刺激的だったのだと思います。売った分が自分の取り分なのですから。

これは良いお金になったと記憶しています。

でもこの”ビジネス”は結論から言うと手をつけませんでした。 その理由はまず商売道具の自転車がないこと、そしてちょっと恥ずかしいことなどがその原因だったと思います。

ちょっと恥ずかしいとは つまり 自転車の荷台にあさりを載せて朝の静まり返った そして人気のない町で”あさ~り、あさり”と売り歩く時に掛け声を出すからなのです。

でも私はこういう 現金商売が好きですね。

このような直接的な商売は商品とお客との距離が近い、また作り手 生産者とお客との距離が近いですよね。

考えてみればグリーンウッドワークは 作り手と材料になる木との距離を縮める木工ということができるわけで、 その点からすると 今度は作り手と 買手との距離を縮めるのですから ”インライン”つまり延長線上にあるという気がしますね。

さていよいよ本題です。

物を作る人は作ることに専念するのが普通であると思います。

では作られたものは どうするのか?

それは作ることとは別の領域なので たいてい他人に頼むか 違った手段を講じて販売するのです。

たとえば 家具職人は注文を受けてそれにこたえて製作するとか ある決まったルートがあって 作ったものはルートを通して売られてお金になっていく、とか あるいは 特定のお店に納めて販売されるとかです。

もう少し新しいジャンルの家具作家は 個展とか展示会とかいったイベント等あるいは 百貨店的展開で 販路を自ら開拓していくのだと思います。

ですから どちらかというと木工の作家はやはり作る事が主であって売ることは やはり本業ではないのだと思います。 売ることはできればあまり本気になってエネルギーを注ぎたくない、出来れば 作ったものが黙っていても売れていってほしいと思うのであろうと思います。 私もそうです。”何も無理にスマイルしてお世辞いわなくたっていいじゃないか”とも思いますね。

でも作り手と買手、または使い手との距離が近いと直接に自分の作ったものの評価を聞けるのです。嬉しい反応や 反対のご意見など でも 直接に受け止めることは大事だと思います。

そんな観点から最近私はもっと販売そのものにエネルギーを注ぐべきではないかと感じるようになりました。

物を売ることを他人任せにせず 直接お客と対面して ”商売”として行わなければいけないのではないかと思うのです。

私はまたべたべたのゲンナマのやり取りの商売が案外面白いものではないかと思い、

作ること、売ってお金に換えて そしてそれで生活出来ること、それがいいな、と思い始めています。

売るということは 木工とはまるで別の純粋な商売として自分の作ったものをあたかも単に商品としてつまり 他人が作ったものとして売るということです。

作るということと 売るという二つのまるっきり異なる性質のものを混ぜること、つまり

有機エマルジョンですね。

皆さんはどう思いますか?

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生産量は機械のものに比べてかなり劣りますが それでも毎日毎日少しずつ挽きあがった器がお嫁入りの日を待っています。

売れれば嬉しいけど、なくなるとさびしいですね、やはり。

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2010年4月 8日 (木)

器を挽く刃物

私のところにある器のロクロは人力です。ですから電気仕掛けではありません。

そしてそのろくろに使う刃物は鉤の形をした刃物です。現在ざっと40本近くの刃物があります。これらのものは用途に応じてあれこれと使い道があるのでいつの間にかこんな数になってしまうのですが これらの刃物はすべて自作するのです。

今日はそのうちわずかですがご紹介します。

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左から 左利き用の一番普通のタイプ(まだ出来上がったばかりで研ぎはしていません)

隣    右利き用の普通のタイプ(これはもうだいぶん使い込んでかなり刃が減ってしまいま                 した)

となり  最近試し始めた ”お化け”

右    これは私が一番最初につくった器用刃物で もとは バールです。(特殊な用途にとても重宝しています)

さてその“お化け”の事を説明しましょう。

この刃物のもとの部分の太さは22mmです。通常の太さはうちでは13mmですから、その太さがわかると思います。  大げさに言うと小学校の校庭にある鉄棒ぐらい太いです。

良く見ると先端が割れているのがわかると思います。実はこの割れがなぜできたかというと

あまりにこの鋼材が太く、うちの鍛冶屋仕事の火床では火力が十分に出ないのです。

そのため温度が低い状態でハンマーでたたくのでグニャッと曲がらず 割れてしまったのです。ま~それでもちゃんと仕事はできます。

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この“お化け”なんでそんなに太いのかというと、重さなんです。重いと削る時に刃物が動かなくなり挽くのが楽になるのです。ただ添えておけばいいということです。

ちなみにこの刃物の鋼材はダイス鋼です。(硬いわけだ!)

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