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2008年10月 4日 (土)

トゥーカカム作り

                            トゥーカ カム=twca cam

トゥーカ カムとはウェールズ語で、向こうの人に聞いたところtwca=曲がった cam=引くという意味だそうです。

Dsc00602_2 スプーンのボールのくぼみを削るとき 通常丸ノミなどを使いますが使い勝手 整形の手間を考えるとこのトゥーカカムに勝るものはないでしょう。使い方などは後ほど詳しく解説することとして今週はこのトゥーカカム作りをご紹介していきたいと思います。

道具など

今回の作業には火力の強いバーナーが必要です。以前に書きましたがDIY店で購入できると思います。材料の厚みが薄く 少量ですから充分市販のバーナーで火力をまかなえると思います。

Dsc00635 Dsc00710 もう一つ今回は曲がった刃物を作るためにハンマーと 鋼鉄製の台=アンビールが必要になります。ペンチなど多めに2本ほど用意してください。

材の焼きなまし

今回は刃を曲げ加工するので前回のストレートな刃物作りより少し難しいです。その曲げ加工のために焼きなましを行います。焼きなましすることによって金属が柔らかい組成になるのです。もし焼きなまさない状態でトゥーカカムのように曲がった刃物を作ろうとハンマーでたたいたらおそらく折れてしまうでしょう。焼きなまし=低い温度で鋼をなまくらにすること。

温度は700度前後、材料を加熱していくと徐々に薄暗い鈍い赤から明るくなっていきます。

赤が鮮やかになる前のまだ多少暗い状態の赤、ここら辺が焼きなましの温度です。

ちなみに焼入れの温度はそれよりさらに100度ほど上の800度前後と言われています。これは赤身がまさに鮮やかな赤色に変わっていくあたりです。

Dsc00638 Dsc00667材料の半分ほどをまず加熱しひっくり返して残りを加熱します。徐冷します。冷めたらヤスリでチェックしましょう。なまくらになった鋼は柔らかくなりヤスリがけできるはずです。”ヤスリをヤスリがけ”ということです。

線引き

twca camは刃の先端が極端にとんがる必要はないと思います。差込部は全体の長さの3~4割ほどの割合にしてください。また刃はスプーンのボールのくぼみを削るために曲がっていなくてはいけません。そしてそのカーブはあまりゆるいとゆるいくぼみのスプーンしかできません。カーブがきついほどくぼみの深い削りができます。また小さければそれよりも大きなくぼみは削れますが、大きなカーブの刃はその刃のより小さなカーブのくぼみは削ることができません。ですから最初は多少小さめの円弧の刃にしたほうが良いでしょう。

また刃のカーブはなるべく持ち手の近くに作ってください。そのほうが削りやすいですから。身の回りのスプーンなど参考にしながらカーブの深さなどイメージしたください。

刃の先端は尖らせず鈍く丸めて多少テーパーにしても良いでしょう。刃の形がイメージできたらスプーンカーヴィングナイフのように型紙を作っても良いしまた直接マジックなどで材料に書いてもいいです。

Dsc00643

荒削り

まず先端をスプーンカーヴィングナイフのように多少カーブさせて削ります。両角を落としたほうが良いでしょう。次に差込です。多少大きめに荒削りしてから後で綺麗に整形するようにします。そうするほうが綺麗にできると思います。

Dsc00646

刃を薄くする

スプーンカーヴィングナイフのやり方で刃を先端に向って薄くしていきます。ここで再度やり方を紹介します。

Dsc00649 まず刃全体をさっとディスクグラインダーで軽く削ります。

Dsc00650 次に全体にマジックを塗り、今度は刃渡りの4/3ほどから下を削ります。

なるべくでこぼこを作らず強弱のアクセントをつけずに削るようにしてください。

この4/3ほどを左右均一に2度3度ほどかけます。

次には刃渡りの半分ほどを同様にかけます。こうしてディスクグラインダーでかけると図らずも刃先の部分が最終的に一番多く削れることになり、その結果先端が薄くなるのです。

Dsc00652 Dsc00656

手ヤスリ掛け

次に裏刃をヤスリ掛けして平らにします。ここではディスクサンダーではなく手でヤスリ掛けします。材料はすでに焼きなまされているのでヤスリがかかります。

(材料によっては焼きなましを数時間掛けて徐冷しないと焼きなましできないものもあります=SK3等)

Dsc00667 このように台の上に固定して作業してください。刃先から元まで満遍なく均一に平面になるように掛けます。

刃付け

裏刃を削ると次はベベル(斜めの切刃)をつけます。刃の幅の半分ほどを斜めにディスクグラインダーで荒削りします。

Dsc00659 *皆さんの作ろうとするtwca camと写真のものはベベルが逆になっていますので誤解のないようにしてください。今回は裏刃側をスプーンを削る時に木に当たるような刃のつけ方にします。

ですから右利きの方はベベルを写真とは反対側につけてください。

まず角の部分を斜めにさっと一なでします。つぎに同様の角度でさらに幅広く削り取ります。

Dsc00660 このようにして刃幅の半分まで削ります。ただし注意しなくてはいけないことは徐々に刃ができてきて材料の厚みが刃の先で削り取られていくわけですが、けして尖らせずに1mm弱ていど厚みを残しておくことです。

マジックなどで着色し削り作業を均一にしてください。多くは山なりに盛り上がったベベルになりますが、少なくとも平らにしてください。

Dsc00665 Dsc00662

さらに先ほどのように手ヤスリをかけてベベルを仕上げます。

曲げ

一つのポイントはどこを最初に曲げるかです。そしてさらにどう曲げるかです。

今回はハンマーを使い差込と刃の元の境目の所を最初に曲げることにしました。

Dsc00764

Dsc00767

写真の赤く塗った部分に火を集中してあてて赤めます。

このようにくぼんだところを利用してたたいて曲げます。大事なことは差込は絶対にたたかないことです。もしたたくと差込が曲がってしまいますから。もちろんそうなった場合たたいて修正はできますが。たたく場所は刃の元の部分です。刃はマッ平な裏刃側です。大体25度前後曲がれば良いでしょう。

うまく曲がったら次は刃を曲げます。

今回は先端からです。

Dsc00770 曲げたい部分を主にあぶって赤め(赤めるときの色は明るい赤色ほどにしたほうが良いでしょう。がんがんたたかず少し力を加減してたたいてください(刃が薄いし力を入れてたたくときつく角がついてしまいますから)。

Dsc00771 次に刃の中央部分にかかります。同様にあぶってたたいていきます。

そういえば力を加減するためにハンマーも軽い物を使うと良いでしょう。

Dsc00774 大まかなカーブができたらカーブの調子を整える意味で再度あぶって軽くたたいて整えます。

この時に曲げたカーヴがそのままスプーンのくぼみの形になります。ですからゆるく浅いカーブにするとボールのくぼみも薄く浅いものになります。もしこのカーヴをきつく作るとくぼみは深いものができます。さらに浅いものもできなくはないです。

ただ今回はそういったことにこだわらずまず試してみてください。一つ作って感触を確認すれば第2、第3のトゥーカ カムには異なるヴァージョンができるでしょう。写真のカーブではそれでも通常のスプーンができる程度のカーヴになると思います。

なお刃渡りがあまり長いと力が入りにくくそのため使いにくくなるので そのときには先端を折り返してクエスチョンマークのようにすると良いでしょう。こうすると折り返してある部分をスプーン削りの作業に有効に使えるのです。ただしそのことばかりにとらわれるとかなり小さなカーブになります。もしこのような折り返しの刃にするのでしたら材料の長さををそれなりに長めにしたほうが良いかもしれません。

焼き入れ

焼入れは前回のスプーンカーヴィングナイフの要領で鮮やかな赤い色まで熱したっぷり入った水の中に間を開けずに即座にポチャンと落とします。

焼き戻し

焼き戻しもスプーンカーヴィングナイフのやり方で180度ほどの温度で30分ほどてんぷらします。

注意点

火事 怪我 やけど 事故。

焼入れのときに刃先の薄い部分をバーナーで間近にあぶると刃が加熱しすぎて具合が悪いので背中の厚い部分から火を当てると良いでしょう。もし火力が弱ければ反対に刃先の薄い部分を集中してあぶって鮮やかな赤い色になり、なおかつ背中の厚みのある側がその温度に達しなくても良いと思います。

刃の先端と差込の位置関係は写真のようにしてください。つまり差込の線上に刃先の先端がおよそ位置するようにします。写真の刃先は少し前に出ていますが おそらく許容範囲ないであろうと思います。

柄もスプーンカーヴィングナイフと同様に作ります。

Dsc00775

次回これに関連して研ぎを多少ご説明しようと思います。

お断り

私は鍛冶屋の専門家ではありません。どこか間違いなどあるかもしれません。もし疑問点 間違いなどありましたら指摘していただけるとありがたいです。

また今回は できるだけ皆さんの手の届く範囲での刃物作りを目標としましたので多少の手順や不適切などあるかもしれません。

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