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2008年10月15日 (水)

スプーンカーヴィングナイフの使い方

スプーンカーヴィングナイフ(生木を削る場合の刃物です)

私たちが普通に手にするこの手の刃物といえば 小刀だと思います。

小刀とスプーンカーヴィングナイフの大きな違いは片刃か 両刃かということです。

考えてみれば鉋は片刃で、しかも刃裏つまりマッ平らな方を上にむけて切刃=ベベル側を木につけて削ります。

多くの場合小刀を使うときは平らな刃裏を木につけて削っていると思います。個人的にはしかし同時にベベル側を木に当てて削るのが好きです。

このようにベベル側で削ることの利点は何かというと刃のコントロールが容易であるということです。ベベルの角つまり峰の部分がテコの支点になって刃が深く入り込まないのです。またこの刃裏を木に当てて削ると刃先の角度のせいで刃物は木に食い込むようになっています。

前置きが長くなりましたがスプーンカーヴィングナイフ、また小刀と異なるタッチの削りをして見ましょう。

危険の回避

どんな場合にも刃物を使うときにはその刃の運動の先に自分の体の一部をおくことは怪我のもとになります。つまり 怪我をしたくない人は 刃の向う先に指や手を置かないことです。

もちろんここにも例外的な使い方がありますが これは鉄則ですね。

怪我をした人の話を聞くと必ずといっていいほどこの基本的なルールを逸脱しているのです。

基本的な削り方

たかがナイフの使い方、と思うかもしれませんが このナイフは非常に単純な道具であるがゆえに非常に実力や経験の差が出てしまうものです。

例えばスプーン1本作るのに丸1日かかる人と数時間で削り上げる人がいます。また削りあがりの状態がガタガタな人と非常に滑らかな人がいるものです。

Dsc00854 利き手に刃物、もう一方の手に材料を持って両手を体の前で合わせ、両手を反対方向に遠ざける方法。この削り方は非常に強い力で削り作業を行うことができ、なおかつ危険性がもっとも少ない方法です。

このスタイルの削り方の変化形として刃物を体にしっかりつけて体から離さないようにして木片のみを引いて削る方法。あるいは反対にナイフのみを動かす方法もあります。         

Dsc00855

また刃物の刃先を自分の方に向けて体に押し付けしっかり固定し木片を外側に押し出して削る方法もあります。

通常刃物を動かす場合が普通ですが、このように刃物を体に押し付けて木片を動かす方法は怪我の危険性をかなり軽減できると思います。なぜなら刃物が固定されておりそこから体が遠ざかっていくのであり、刃物に体が触れることがないからです。

大きく力をかけて材料を削る場合、このように体に刃物や 材料を固定して削ると効率が良くしかも安定して 安全であります。

Dsc00856_2 このように体から遠くに離して作業することはなくはないですが 力がかかりにくく、疲れやすいです。

Dsc00859 このような削り方は むしろ初心者には非常に危険です。ちょっと使い方を間違えると左手の大きな血管を傷つけてしまうからです。

本来この削り方は左手を徐々に削るとともに刃物から遠ざけていくのですが、。つまり左手は材料を持って左斜め前方向に刃物から遠ざかるのです。

Dsc00862 少し細かい削り作業

利き手と反対の親指で刃物の背中を押して削ります。刃物の駆動はですから左手の親指ということになります。

本当は 刃物は引いて切るのです。引いて切るとは 例えばお刺身を切るときをイメージしてください。刃の元から先にかけて引きながら切りますよね。押して切るのではなく、引いて切るのです。ナイフもそのやり方で切ると切った面が綺麗になります。

Dsc00867 Dsc00868

Dsc00869

もう一つ

それは削るのが大変な硬い木口などを削る時の方法です。

この場合連続して長い削りを行うのではなく、ごく少しずつけずるのです。それはたとえて言えば魚のうろこのような削りカスを削り飛ばすのです。そうやって断片的にあるいは部分的に削って 最後に全体を整えるのです。

私の好きな削り方

Dsc00873このように左手の親指で刃物を駆動していくやりかた。一見初心者には怖い削り方ではありますが、右手は添えるだけで力を入れてはいません。また左手の親指も握力の範囲で動かしています。ですから自分の手を傷つけることはないのです。

Dsc00870 Dsc00871

似たような使い方  ただしこの場合利き手=右手の親指は木片の後ろ側に隠して 刃物が暴走しても直撃を受けないようにしているのです。 要チェックです、親指。

もう一つ

これは大事なことです。物を削るとき どこを削るかということです。もちろん不必要な部分を削るのですが どう削るかということです。大事なことは出っ張っている角や 山を見つけてその出っ張りを落とすのです。平面を平に落とすのではなくまず出っ張りを落とすことです。その意味は 出っ張りは削ることが楽なのです。出っ張りを見つけて落としていくとつまり平面が出来上がっていきます。平らな面を削ることは至難の業、つまり大変なことなのです。ですからたえず利き腕と反対の手に握られた木片を見ながらどこが出ているかをチェックしながら削るのです。

自分の目に見て違和感がある部分を削っていくと自分の形が出来上がっていくものでもあります。ここらへんが面白い工程であるということです。木と対話しながら削るとはこういうことなのかもしれません。

最初に言いましたが

ナイフのようなオープンなシンプルな手道具は使う人の技量そのものによって効率的にもあるいは危険なものにもあるいは難しいものにも あるいはつらいものにもなりうるものなのです。

ナイフは人とともにある手道具です。

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