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2008年10月11日 (土)

刃付け、研ぎ

どんなに良く作られた刃物も研ぎがよくないと作業が面白くなくなります。刃物自体があるレベルのものであれば その後の刃物の命を宿らせるかどうかは研ぎにかかってきます。

常に良くとがれた刃物を使う習慣を身に着けることは木工の技術的なレベルを向上させる上で非常に重要なことになるのです。

また刃物の研ぎはその刃物を使う人それぞれが一生をかけてその人と刃物との付き合いの中で作り上げていくものでもあり、同時に 作品そのものを評価すること以前のことであり他者があれこれとはいえない領域でもあります。

今回は スプーンカーヴィングナイフ、トゥーカカム など直線的ではない 刃物に刃をつけ、また研ぐことについて自分なりのやり方をご紹介しようと思います。

なお刃物は柄をすげてから研ぐようにします。

スプーンカーヴィングナイフ

スプーンカーヴィングナイフは刃自体は直線ですが先端はゆるくカーブしています。どちらかというと日本刀に似ています。

刃付け

まず最初、これまで手がけてきた刃物に始めて刃をつける作業です。

道具 砥石類

Dsc00804

左 京都産天然仕上砥石 もう30年ほど前に1万円ぐらいしました。

隣 鎌とぎ用安い天然中砥石 かまぼこ型に削りなおしました。

隣 鎌とぎ用  合成中砥石  同上

隣 木工用  合成砥石

隣 鎌とぎ用安い天然荒砥石  かまぼこ型に削りなおしました。

右 木工用  合成荒砥石  

日本の刃物のほとんどが柔らかい地鉄と固いハガネを鍛接した構造になっています。そして鉋やノミの刃などは地鉄とハガネの割合がハガネが薄いのです。そのハガネが刃のマッ平らな側にあり、この面を荒砥や中砥でがりがり研いだりメンテナンスして目減りすることを嫌うものです。

今回の刃物はしかし全部がハガネの単一構造ですからあまりそういうことを気にすることは必要ないと思います。また刃をつけるプロセスでありますから最初、荒砥石で面を調整します。

両側を平らにする

荒砥石を使い刃の上側を両側とも平らにします。荒砥石には合成、天然とありますが、通常の市販の合成のものでも良いでしょう。あまり強く押し当てすぎて研ぐと深い傷が残りがちですので最初水に沈めて小一時間もしてから研ぎ始めると思いますが、そのとき砥石にたっぷり水をのせて研ぎ、そのまま水を変えず粒子が細かくなるまで研ぐとキズも少なくなると思います。ただ水はなんども途中で補給する必要があるでしょう。また平面がまだまだ出てこない時点では逆にどんどん研ぎカスを砥石から洗い流し絶えず新たな砥石の面が出ているようにして研ぎます。

Dsc00806_2 ほぼ平面になりましたら次は中砥石で同様に研ぎ、徐々にキメを細かくしていきます。最後は仕上砥石ですね。

Dsc00809 これは中砥石での研ぎです。

ぴかぴかの鏡面になればO.K.です。

刃をつける

いよいよ刃をつけます。まず やはり荒砥石で大まかに研ぎます。もし前回のスプーンカーヴィングナイフ作りの時にヤスリで刃を削りだして焼入れの前には刃先をわずかに1mmの半分以下ほども刃をつけないようにしてあれば、そのわずかな刃のつけていない部分をこの段階で研ぎだすのです。

荒砥石ですからある程度研いだら反対側を研ぐようにしてください。

刃研ぎのポイント人の手は砥石の往復運動には好都合にできておらず 知らないうちに円弧を描きながら往復運動をし、研がれたは刃丸くなり、砥石は真ん中が減ってくるものです。

この刃が丸くなることがなければ研ぎはかなり上達したことになるのです。円弧を描きながらの往復運動をただの直線的な往復運動にしつけるのです。

刃の元、中間、先端と分けて研ぐことも良いでしょう。しかしある程度平面が均一になってきたら刃全体を1回のストロークで研ぐようにしたほうが良いです。

私の場合、合成の荒砥石の次に天然の荒砥でさらに研ぎますが、これはその柔らかさで刃の表面を研いで、中砥石以前の状態を良くしておくためです。もちろんすぐに中砥石に移行してかまいません。研ぐうちに刃先の状態を確認します。そっと刃先に親指のはらで触れてみて刃に返りが形成されてきたら刃がつき始めた、ということです。刃の全体にこの返りがついたら次の段階に移行します。

中砥石

ここまでの状態は荒砥石によって刃先が形成されたのですが、荒砥石の研磨では刃の表面は顕微鏡的な大きさでみれば まだまだがたがたです。つまり研磨の粒子の大きさが大きいため表面がでこぼこになっているのです。そこでこの表面のでこぼこをさらに粒子の細かい砥石で滑らかにしていくことが必要になるのです。研磨とは刃をつけることですが、その刃が鋸のようなぎざぎざの状態からより均一な刃先にしていくことであります。刃とはこの場合完璧な平らな表面が2つ出会った場所なのです。

荒砥石での研ぎがうまくいけば、刃の元から先までを1ストロークでの研ぎにすぐ移っても良いでしょう。この場合刃の元から刃先にかけて一気に砥石の長さをつかって研ぎます。ところが先ほど説明しましたがこのストロークで研ぐと自分の研ごうとする刃先にうまく研磨の面が一致しがたいのです。そこで マジックインキを刃につけて自分がどこを研いでいるかをチェックすることが良いでしょう。このインクがなくなったことを目安にして自分のストロークを修正します。手にストロークを習慣付けます。

Dsc00816 Dsc00812          

Dsc00818

仕上

もし程度の良い仕上砥石をお持ちでしたらもちろんそれを使って仕上げることができます。ところが仕上砥石は高価で しかもあたりはずれがあります。もし良いものを持っていないとしたら、中砥石で終了しても良いですが、あきらめきれない気持ちもあるのは事実でしょう。

もし仕上砥石を持ち合わせず、しかも中砥石以上の研磨を望まれるのでしたら、研磨用の耐水ペーパーをお勧めします。

#100代から#2000代まで段階を踏んで一枚ずつ用意してください。今後のためです。

中砥石のキメは1000番代ほどですから同様の番数のサンドペーパーを1/4程度の大きさに切って使います(砥石の番数とサンドペーパーの番数が同様の粒子の細かさを表示しているものとおもいます)。大事なことは刃の付いてきた側を押し出して研がないことです。サンドペーパーは砥石と異なり柔らかく刃先が食い込んでしまっては困るので。

そしてサンドペーパーは砥石のような硬いものの上に少し水をたらしてサンドペーパーを密着させるようにすると良いでしょう。さらに研ぎのときにも水をいくらかたらして研ぐと良いでしょう。およそ2000番代までは通常のサンドペーパーでできるはずです。

Dsc00819 その上の番手は フィルム状のこのような研磨材が出回っています。

#10000ほどまで揃えれば充分だと思います。先ほどと同様にして研いで見てください。鏡のようなピカピカになると思います。

トゥーカカム

トゥーカカムは刃が反っています。まず外側の平らな面を荒砥石で平面にします。

Dsc00824 Dsc00825          Dsc00826          このように砥石の向こう側から手前側に引いて刃物の元から先端を研ぐ方法、などで削れた面をチェックし 削り残しを見つけて生きます。削り残しが深そうでしたらその部分をなくなるまで研がなくてはいけません。マッ平にします。

荒砥石が終わったら(刃の一面が均一に荒砥石で削れたら)次に中砥石で同様に作業し、さらに仕上砥石をかけます。先ほどと同様に仕上砥石がなければサンドペーパーを使って#10000前後までかけます。

さて問題は反っている刃の内側です。砥石をかまぼこ型に加工して使うこと、特に荒砥、中砥くらいまでは砥石を使ったほうが刃に変な変形の癖をつけない意味では望ましいと思います。とにかく最初の刃の状態はでこぼこで、これを均一に平にするのは、また刃先に返りがくるまで研ぐのはやはり荒砥石が重宝します。またその下段階として ダイヤモンドのスティック状のヤスリが有効です。

Dsc00838 刃全体をマジックで塗り、このダイヤモンドを使って大きなでこぼこを落としていきます。なおダイヤモンドやすりは強い力で使わないようにしましょう。ダイヤモンドが取れてしまいますから。

もし荒砥石も中砥石も丸いものがなかったら やはり サンドペーパーを代用しても良いです。 円柱状のしっかりしたものを見つけ4つ切りにしたサンドペーパーをこれにまきつけ水をつけて刃の縦方向にこすって使います。こうして縦方向に研磨すると刃が丸くなることが少ないはずです。順次番手を変えて#10000前後まで行えば研磨完了です。最後に刃先の返りをやはり#10000前後のサンドペーパーで裏側からはらって落とします。

そっと刃先に爪をあてるとカチッと引っかかるようであれば合格ですね。

Dsc00842 Dsc00843

                                               

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