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2008年10月28日 (火)

材の調達 保存方法等

まず木の種類ですが 木の細胞の細かい木を選んでください。 楓、桜などポピュラーです。

木の細胞が細かいとは つまり例えば 版画を彫る木をイメージするとわかりやすいかもしれません。細かい字を彫刻刀で木に彫り出そうとすると細胞の荒い木は字の部分が欠けるものです。ぼそぼそしているというか、そのため細かい図柄など版画ではほれなくなるのです。ですから版画の木は細胞の細かい 桜やそういった種類の木を使うのだと思います。

切時期

もちろん冬です。冬には木々はその成長を休み水分をくみ上げなくなります。

古代ローマの建築家であるヴィトルヴィウスがシザーにささげたとされる”建築10書”にもすでに木材の伐採時期に関してかなり的を得たコメントを書いています。

要約すると夏に伐採した材はいわば自身の成長のために枝葉を茂らせ、そのエネルギーの多くを成長に費やしてきた木であり、冬になると木は葉を落とし自分の体の熟成を行うのだ、だから冬材のほうが良い、といっています。私もそう実感します。実感です。

ですからスプーンの材にするのであればなるべく冬に伐採された木を選んでください。

でももしそれがかなわなくても気にせず夏材でも良いですから 試してください。そこで私の言ったことを思い出して チャンスがあれば冬材も試してください。大事なことは一年のサイクルによって木の材質が違うであろうということです。

今は秋も深まり あちこちで木々の間伐や市街地などでも枝の伐採など見かける機会があります。そんな場面に出くわしたら一歩進んで話しかけてみてはいかがでしょうか?

あまり欲張って太い木をくださいとはいわないで 小さなものをまず もらうようにしましょう。

ひとたびいい、といってくれれば きっと”なんに使うんだい?”などと聞かれるので、きっともっともらしいことをいってください。”そうか、それならこっちのほうがいいかもしれない”などと話が弾んで良いのをくれるかもしれません。

あとは NPOや自然保護団体など 今はさまざまな団体が里山整備事業など行っておりまた間伐のイベントスタッフを募集していたりします。そちらに参加するなどすればきっと話が早いと思います。

良い材が手に入ったら なるべく日光に当てず風のない静かな冷えたところに新聞紙に包んで水をかけておいておけば案外長持ちします。新聞紙が皮膚になって水分の抜けることを遅らせます。長ければ長いほど、太ければ太いほど長持ちします。小さな木でしたら

やはり新聞紙に包んで水にぬらし、冷蔵庫に保管する手もあります。

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2008年10月26日 (日)

出物

グリーンウッドワークで 小割にした材の角を落とすときに使う斧を トリミングアックス、手斧などといいます。

私は これまで made in Japan の 木割り用の斧の刃を柄を短いものに挿げ替えて使ってきました。この手斧の刃の断面形状はベベルの部分ができれば内くぼみのものがよく、これを日本製の刃物で代用するには そのベベルのふくらみを落として少なくとも平らにしなくては使えないものです。

本日 お付き合いで 地元のイヴェントに出展しましたが、たまたまそのとき 古道具やが出展しており、そこに 長年欲しかったケントタイプのトリミングアックスを見かけたのです。手にとって見るとmade in UAS Stanleyと銘打ってありました。”ふ~ん、スタンレーもこういったものを作っていたのだ”と思いました。値段が値段だけに 急いでお金をとりに行って買いました。

2007_picture_of_the_trimming_axe_00 いつも使っている トリミングアックス

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今回ゲットした USA製アックス、でも柄は 後付で日本製です。 もし海外から新品を買い入れると現地価格で15000円前後はします。それが1/6ですから。

ただしこの刃先はなぜかまっすぐなのですこしカーブさせないと使いにくいので研ぎなおしの必要があるのですが。でも念願の刃物を思いもよらぬところで 思いもよらぬ金額で手に入れることは うれしいですね。お付き合いもだいじかな?と自分に言い聞かせています。

今後柄を挿げ替えて 刃先の形状をカーブさせれば 2500円が20倍になりそうです。

Dsc01108 US アーミーのジャズバンドの生演奏もありました。さすが神奈川!

Dsc01105 お付き合いのイヴェントです。地元神奈川山岳地域?

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2008年10月22日 (水)

トゥーカカムの使い方

トゥーカカムは利き手に握ってその握った手の握力で木にくぼみを削り取っていく刃物です。

りんごの皮を包丁でむくときのように刃物を動かして=手前に引くように使います。

1.

まず利き手と反対の手(今後右手を利き手と仮定して説明しますのでご承知おきください)  にスプーンにする材を持ちます。この時材の向こう側の端をもち、手前側の端を右手のところに持ってきます。

2.

右手にトゥーカカムを持ちますが、そのくぼんでカーブしている側を下にむけて起きます。

3.

この状態で右手を木に当てずトゥーカカムを親指以外の4本の指で握ったり開いたりして感触を確認してください。この握ったり開いたりする動作の時に刃が親指に来ることはないようにしてください。握ったときに2,3cmほど刃と親指に隙間ができるぐらいにしてください。

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4.

では実際に材に刃をあてて見ましょう。まだ削らないでください。まず右手の親指ですが材の手前側の削る面より少し下側におきます。

Dsc00877 このように材の後ろに隠すように添えます。そうしないと刃がもし暴走したときに親指を怪我するからです。刃の行く先に手や体を置かない、これが怪我をしない鉄則です。

5.

さあ、いよいよ削ります。削る前の状態は4本の指でトゥーカカムを固定していて、なおかつ親指が自分のポジションについていること。ですから親指とトゥーカカムとは10cm前後はなれて開いている状態のはずです。

この状態にあることを確認したらトゥーカカムを4本の指で親指に向って引き寄せるように握力を使って木を削ります。ここでは実際に動くのは4本の指に握られたトゥーカカムだけでしかも右手の4本の指の付け根から先の部分のみです。親指は材に固定して動かない状態になっていなければいけません。この削り方が基本的な削り方です。

6.

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ちょっと休憩 その2

Dsc00996 アメリカから世界的に著名なグリーンウッドワーカーであるDrew Langsner氏の椅子作り教室のサポートをするため 数日を岐阜ですごしました。

ラダーバックチェアー、背中に2枚の背板のついた椅子を 伐採して間もない 生の栗の木から一貫して作り上げる、つまりグリーンウッドワークで作り上げる教室です。前半、後半合わせて6日間の作業日程で行われた椅子作り教室でした。私は後半のみのサポートでしたが、参加者は毎日定時を終了してさらに夜遅くまで”残業”していよいよ完成しました。(完成という表現は正確ではなく 最後の坐編みは時間切れで、そのやり方のみの講習になったのですが)。夜遅くまで1日中みなさん非常に熱心に作業していました。

自分たちが丸太からスタートして それぞれのパーツを作り上げ いよいよそれらのパーツが組み上げられ 椅子の形になっていくととたんに 喜びの気持ちがより強くなり、体力的にかなりつらいはずなのにそれでも皆さんエネルギーを発散しているのです。

不思議なクラフトですね。

また講師のランズナー氏の魅力ある人柄はなお一層作業を魅力的にしたのです。

グリーンウッドワーク、不思議な木工ですね。

そして私も参加できてとても幸せです。

秋の柔らかな日差しの中 8人の参加者がもくもくと素敵なお庭で作業している様子は

そのことを知らない部外者がみたら 不思議に思うでしょうね。

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Dsc01037 皆さん お疲れ様でした。そして素敵なラダーバックチェアー 組みあがってよかったですね。

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2008年10月15日 (水)

スプーンカーヴィングナイフの使い方

スプーンカーヴィングナイフ(生木を削る場合の刃物です)

私たちが普通に手にするこの手の刃物といえば 小刀だと思います。

小刀とスプーンカーヴィングナイフの大きな違いは片刃か 両刃かということです。

考えてみれば鉋は片刃で、しかも刃裏つまりマッ平らな方を上にむけて切刃=ベベル側を木につけて削ります。

多くの場合小刀を使うときは平らな刃裏を木につけて削っていると思います。個人的にはしかし同時にベベル側を木に当てて削るのが好きです。

このようにベベル側で削ることの利点は何かというと刃のコントロールが容易であるということです。ベベルの角つまり峰の部分がテコの支点になって刃が深く入り込まないのです。またこの刃裏を木に当てて削ると刃先の角度のせいで刃物は木に食い込むようになっています。

前置きが長くなりましたがスプーンカーヴィングナイフ、また小刀と異なるタッチの削りをして見ましょう。

危険の回避

どんな場合にも刃物を使うときにはその刃の運動の先に自分の体の一部をおくことは怪我のもとになります。つまり 怪我をしたくない人は 刃の向う先に指や手を置かないことです。

もちろんここにも例外的な使い方がありますが これは鉄則ですね。

怪我をした人の話を聞くと必ずといっていいほどこの基本的なルールを逸脱しているのです。

基本的な削り方

たかがナイフの使い方、と思うかもしれませんが このナイフは非常に単純な道具であるがゆえに非常に実力や経験の差が出てしまうものです。

例えばスプーン1本作るのに丸1日かかる人と数時間で削り上げる人がいます。また削りあがりの状態がガタガタな人と非常に滑らかな人がいるものです。

Dsc00854 利き手に刃物、もう一方の手に材料を持って両手を体の前で合わせ、両手を反対方向に遠ざける方法。この削り方は非常に強い力で削り作業を行うことができ、なおかつ危険性がもっとも少ない方法です。

このスタイルの削り方の変化形として刃物を体にしっかりつけて体から離さないようにして木片のみを引いて削る方法。あるいは反対にナイフのみを動かす方法もあります。         

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また刃物の刃先を自分の方に向けて体に押し付けしっかり固定し木片を外側に押し出して削る方法もあります。

通常刃物を動かす場合が普通ですが、このように刃物を体に押し付けて木片を動かす方法は怪我の危険性をかなり軽減できると思います。なぜなら刃物が固定されておりそこから体が遠ざかっていくのであり、刃物に体が触れることがないからです。

大きく力をかけて材料を削る場合、このように体に刃物や 材料を固定して削ると効率が良くしかも安定して 安全であります。

Dsc00856_2 このように体から遠くに離して作業することはなくはないですが 力がかかりにくく、疲れやすいです。

Dsc00859 このような削り方は むしろ初心者には非常に危険です。ちょっと使い方を間違えると左手の大きな血管を傷つけてしまうからです。

本来この削り方は左手を徐々に削るとともに刃物から遠ざけていくのですが、。つまり左手は材料を持って左斜め前方向に刃物から遠ざかるのです。

Dsc00862 少し細かい削り作業

利き手と反対の親指で刃物の背中を押して削ります。刃物の駆動はですから左手の親指ということになります。

本当は 刃物は引いて切るのです。引いて切るとは 例えばお刺身を切るときをイメージしてください。刃の元から先にかけて引きながら切りますよね。押して切るのではなく、引いて切るのです。ナイフもそのやり方で切ると切った面が綺麗になります。

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もう一つ

それは削るのが大変な硬い木口などを削る時の方法です。

この場合連続して長い削りを行うのではなく、ごく少しずつけずるのです。それはたとえて言えば魚のうろこのような削りカスを削り飛ばすのです。そうやって断片的にあるいは部分的に削って 最後に全体を整えるのです。

私の好きな削り方

Dsc00873このように左手の親指で刃物を駆動していくやりかた。一見初心者には怖い削り方ではありますが、右手は添えるだけで力を入れてはいません。また左手の親指も握力の範囲で動かしています。ですから自分の手を傷つけることはないのです。

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似たような使い方  ただしこの場合利き手=右手の親指は木片の後ろ側に隠して 刃物が暴走しても直撃を受けないようにしているのです。 要チェックです、親指。

もう一つ

これは大事なことです。物を削るとき どこを削るかということです。もちろん不必要な部分を削るのですが どう削るかということです。大事なことは出っ張っている角や 山を見つけてその出っ張りを落とすのです。平面を平に落とすのではなくまず出っ張りを落とすことです。その意味は 出っ張りは削ることが楽なのです。出っ張りを見つけて落としていくとつまり平面が出来上がっていきます。平らな面を削ることは至難の業、つまり大変なことなのです。ですからたえず利き腕と反対の手に握られた木片を見ながらどこが出ているかをチェックしながら削るのです。

自分の目に見て違和感がある部分を削っていくと自分の形が出来上がっていくものでもあります。ここらへんが面白い工程であるということです。木と対話しながら削るとはこういうことなのかもしれません。

最初に言いましたが

ナイフのようなオープンなシンプルな手道具は使う人の技量そのものによって効率的にもあるいは危険なものにもあるいは難しいものにも あるいはつらいものにもなりうるものなのです。

ナイフは人とともにある手道具です。

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2008年10月11日 (土)

刃付け、研ぎ

どんなに良く作られた刃物も研ぎがよくないと作業が面白くなくなります。刃物自体があるレベルのものであれば その後の刃物の命を宿らせるかどうかは研ぎにかかってきます。

常に良くとがれた刃物を使う習慣を身に着けることは木工の技術的なレベルを向上させる上で非常に重要なことになるのです。

また刃物の研ぎはその刃物を使う人それぞれが一生をかけてその人と刃物との付き合いの中で作り上げていくものでもあり、同時に 作品そのものを評価すること以前のことであり他者があれこれとはいえない領域でもあります。

今回は スプーンカーヴィングナイフ、トゥーカカム など直線的ではない 刃物に刃をつけ、また研ぐことについて自分なりのやり方をご紹介しようと思います。

なお刃物は柄をすげてから研ぐようにします。

スプーンカーヴィングナイフ

スプーンカーヴィングナイフは刃自体は直線ですが先端はゆるくカーブしています。どちらかというと日本刀に似ています。

刃付け

まず最初、これまで手がけてきた刃物に始めて刃をつける作業です。

道具 砥石類

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左 京都産天然仕上砥石 もう30年ほど前に1万円ぐらいしました。

隣 鎌とぎ用安い天然中砥石 かまぼこ型に削りなおしました。

隣 鎌とぎ用  合成中砥石  同上

隣 木工用  合成砥石

隣 鎌とぎ用安い天然荒砥石  かまぼこ型に削りなおしました。

右 木工用  合成荒砥石  

日本の刃物のほとんどが柔らかい地鉄と固いハガネを鍛接した構造になっています。そして鉋やノミの刃などは地鉄とハガネの割合がハガネが薄いのです。そのハガネが刃のマッ平らな側にあり、この面を荒砥や中砥でがりがり研いだりメンテナンスして目減りすることを嫌うものです。

今回の刃物はしかし全部がハガネの単一構造ですからあまりそういうことを気にすることは必要ないと思います。また刃をつけるプロセスでありますから最初、荒砥石で面を調整します。

両側を平らにする

荒砥石を使い刃の上側を両側とも平らにします。荒砥石には合成、天然とありますが、通常の市販の合成のものでも良いでしょう。あまり強く押し当てすぎて研ぐと深い傷が残りがちですので最初水に沈めて小一時間もしてから研ぎ始めると思いますが、そのとき砥石にたっぷり水をのせて研ぎ、そのまま水を変えず粒子が細かくなるまで研ぐとキズも少なくなると思います。ただ水はなんども途中で補給する必要があるでしょう。また平面がまだまだ出てこない時点では逆にどんどん研ぎカスを砥石から洗い流し絶えず新たな砥石の面が出ているようにして研ぎます。

Dsc00806_2 ほぼ平面になりましたら次は中砥石で同様に研ぎ、徐々にキメを細かくしていきます。最後は仕上砥石ですね。

Dsc00809 これは中砥石での研ぎです。

ぴかぴかの鏡面になればO.K.です。

刃をつける

いよいよ刃をつけます。まず やはり荒砥石で大まかに研ぎます。もし前回のスプーンカーヴィングナイフ作りの時にヤスリで刃を削りだして焼入れの前には刃先をわずかに1mmの半分以下ほども刃をつけないようにしてあれば、そのわずかな刃のつけていない部分をこの段階で研ぎだすのです。

荒砥石ですからある程度研いだら反対側を研ぐようにしてください。

刃研ぎのポイント人の手は砥石の往復運動には好都合にできておらず 知らないうちに円弧を描きながら往復運動をし、研がれたは刃丸くなり、砥石は真ん中が減ってくるものです。

この刃が丸くなることがなければ研ぎはかなり上達したことになるのです。円弧を描きながらの往復運動をただの直線的な往復運動にしつけるのです。

刃の元、中間、先端と分けて研ぐことも良いでしょう。しかしある程度平面が均一になってきたら刃全体を1回のストロークで研ぐようにしたほうが良いです。

私の場合、合成の荒砥石の次に天然の荒砥でさらに研ぎますが、これはその柔らかさで刃の表面を研いで、中砥石以前の状態を良くしておくためです。もちろんすぐに中砥石に移行してかまいません。研ぐうちに刃先の状態を確認します。そっと刃先に親指のはらで触れてみて刃に返りが形成されてきたら刃がつき始めた、ということです。刃の全体にこの返りがついたら次の段階に移行します。

中砥石

ここまでの状態は荒砥石によって刃先が形成されたのですが、荒砥石の研磨では刃の表面は顕微鏡的な大きさでみれば まだまだがたがたです。つまり研磨の粒子の大きさが大きいため表面がでこぼこになっているのです。そこでこの表面のでこぼこをさらに粒子の細かい砥石で滑らかにしていくことが必要になるのです。研磨とは刃をつけることですが、その刃が鋸のようなぎざぎざの状態からより均一な刃先にしていくことであります。刃とはこの場合完璧な平らな表面が2つ出会った場所なのです。

荒砥石での研ぎがうまくいけば、刃の元から先までを1ストロークでの研ぎにすぐ移っても良いでしょう。この場合刃の元から刃先にかけて一気に砥石の長さをつかって研ぎます。ところが先ほど説明しましたがこのストロークで研ぐと自分の研ごうとする刃先にうまく研磨の面が一致しがたいのです。そこで マジックインキを刃につけて自分がどこを研いでいるかをチェックすることが良いでしょう。このインクがなくなったことを目安にして自分のストロークを修正します。手にストロークを習慣付けます。

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仕上

もし程度の良い仕上砥石をお持ちでしたらもちろんそれを使って仕上げることができます。ところが仕上砥石は高価で しかもあたりはずれがあります。もし良いものを持っていないとしたら、中砥石で終了しても良いですが、あきらめきれない気持ちもあるのは事実でしょう。

もし仕上砥石を持ち合わせず、しかも中砥石以上の研磨を望まれるのでしたら、研磨用の耐水ペーパーをお勧めします。

#100代から#2000代まで段階を踏んで一枚ずつ用意してください。今後のためです。

中砥石のキメは1000番代ほどですから同様の番数のサンドペーパーを1/4程度の大きさに切って使います(砥石の番数とサンドペーパーの番数が同様の粒子の細かさを表示しているものとおもいます)。大事なことは刃の付いてきた側を押し出して研がないことです。サンドペーパーは砥石と異なり柔らかく刃先が食い込んでしまっては困るので。

そしてサンドペーパーは砥石のような硬いものの上に少し水をたらしてサンドペーパーを密着させるようにすると良いでしょう。さらに研ぎのときにも水をいくらかたらして研ぐと良いでしょう。およそ2000番代までは通常のサンドペーパーでできるはずです。

Dsc00819 その上の番手は フィルム状のこのような研磨材が出回っています。

#10000ほどまで揃えれば充分だと思います。先ほどと同様にして研いで見てください。鏡のようなピカピカになると思います。

トゥーカカム

トゥーカカムは刃が反っています。まず外側の平らな面を荒砥石で平面にします。

Dsc00824 Dsc00825          Dsc00826          このように砥石の向こう側から手前側に引いて刃物の元から先端を研ぐ方法、などで削れた面をチェックし 削り残しを見つけて生きます。削り残しが深そうでしたらその部分をなくなるまで研がなくてはいけません。マッ平にします。

荒砥石が終わったら(刃の一面が均一に荒砥石で削れたら)次に中砥石で同様に作業し、さらに仕上砥石をかけます。先ほどと同様に仕上砥石がなければサンドペーパーを使って#10000前後までかけます。

さて問題は反っている刃の内側です。砥石をかまぼこ型に加工して使うこと、特に荒砥、中砥くらいまでは砥石を使ったほうが刃に変な変形の癖をつけない意味では望ましいと思います。とにかく最初の刃の状態はでこぼこで、これを均一に平にするのは、また刃先に返りがくるまで研ぐのはやはり荒砥石が重宝します。またその下段階として ダイヤモンドのスティック状のヤスリが有効です。

Dsc00838 刃全体をマジックで塗り、このダイヤモンドを使って大きなでこぼこを落としていきます。なおダイヤモンドやすりは強い力で使わないようにしましょう。ダイヤモンドが取れてしまいますから。

もし荒砥石も中砥石も丸いものがなかったら やはり サンドペーパーを代用しても良いです。 円柱状のしっかりしたものを見つけ4つ切りにしたサンドペーパーをこれにまきつけ水をつけて刃の縦方向にこすって使います。こうして縦方向に研磨すると刃が丸くなることが少ないはずです。順次番手を変えて#10000前後まで行えば研磨完了です。最後に刃先の返りをやはり#10000前後のサンドペーパーで裏側からはらって落とします。

そっと刃先に爪をあてるとカチッと引っかかるようであれば合格ですね。

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2008年10月 8日 (水)

ちょっと休憩

10月18~20日にかけて岐阜県立森林文化アカデミーにおいて椅子作りの教室が開催されます。この教室の前半が終わって残りの後半が行われるのです。

講師の先生はアメリカ人ドゥルー ランズナー氏で世界的に有名なグリーンウッドワーカーです。

この教室に私たちもスタッフとして参加します。今回は一般参加のオープンな教室ではありませんが今後もしかしたら オープンに開催されるかもしれません。

会うのが楽しみです。

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2008年10月 4日 (土)

トゥーカカム作り

                            トゥーカ カム=twca cam

トゥーカ カムとはウェールズ語で、向こうの人に聞いたところtwca=曲がった cam=引くという意味だそうです。

Dsc00602_2 スプーンのボールのくぼみを削るとき 通常丸ノミなどを使いますが使い勝手 整形の手間を考えるとこのトゥーカカムに勝るものはないでしょう。使い方などは後ほど詳しく解説することとして今週はこのトゥーカカム作りをご紹介していきたいと思います。

道具など

今回の作業には火力の強いバーナーが必要です。以前に書きましたがDIY店で購入できると思います。材料の厚みが薄く 少量ですから充分市販のバーナーで火力をまかなえると思います。

Dsc00635 Dsc00710 もう一つ今回は曲がった刃物を作るためにハンマーと 鋼鉄製の台=アンビールが必要になります。ペンチなど多めに2本ほど用意してください。

材の焼きなまし

今回は刃を曲げ加工するので前回のストレートな刃物作りより少し難しいです。その曲げ加工のために焼きなましを行います。焼きなましすることによって金属が柔らかい組成になるのです。もし焼きなまさない状態でトゥーカカムのように曲がった刃物を作ろうとハンマーでたたいたらおそらく折れてしまうでしょう。焼きなまし=低い温度で鋼をなまくらにすること。

温度は700度前後、材料を加熱していくと徐々に薄暗い鈍い赤から明るくなっていきます。

赤が鮮やかになる前のまだ多少暗い状態の赤、ここら辺が焼きなましの温度です。

ちなみに焼入れの温度はそれよりさらに100度ほど上の800度前後と言われています。これは赤身がまさに鮮やかな赤色に変わっていくあたりです。

Dsc00638 Dsc00667材料の半分ほどをまず加熱しひっくり返して残りを加熱します。徐冷します。冷めたらヤスリでチェックしましょう。なまくらになった鋼は柔らかくなりヤスリがけできるはずです。”ヤスリをヤスリがけ”ということです。

線引き

twca camは刃の先端が極端にとんがる必要はないと思います。差込部は全体の長さの3~4割ほどの割合にしてください。また刃はスプーンのボールのくぼみを削るために曲がっていなくてはいけません。そしてそのカーブはあまりゆるいとゆるいくぼみのスプーンしかできません。カーブがきついほどくぼみの深い削りができます。また小さければそれよりも大きなくぼみは削れますが、大きなカーブの刃はその刃のより小さなカーブのくぼみは削ることができません。ですから最初は多少小さめの円弧の刃にしたほうが良いでしょう。

また刃のカーブはなるべく持ち手の近くに作ってください。そのほうが削りやすいですから。身の回りのスプーンなど参考にしながらカーブの深さなどイメージしたください。

刃の先端は尖らせず鈍く丸めて多少テーパーにしても良いでしょう。刃の形がイメージできたらスプーンカーヴィングナイフのように型紙を作っても良いしまた直接マジックなどで材料に書いてもいいです。

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荒削り

まず先端をスプーンカーヴィングナイフのように多少カーブさせて削ります。両角を落としたほうが良いでしょう。次に差込です。多少大きめに荒削りしてから後で綺麗に整形するようにします。そうするほうが綺麗にできると思います。

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刃を薄くする

スプーンカーヴィングナイフのやり方で刃を先端に向って薄くしていきます。ここで再度やり方を紹介します。

Dsc00649 まず刃全体をさっとディスクグラインダーで軽く削ります。

Dsc00650 次に全体にマジックを塗り、今度は刃渡りの4/3ほどから下を削ります。

なるべくでこぼこを作らず強弱のアクセントをつけずに削るようにしてください。

この4/3ほどを左右均一に2度3度ほどかけます。

次には刃渡りの半分ほどを同様にかけます。こうしてディスクグラインダーでかけると図らずも刃先の部分が最終的に一番多く削れることになり、その結果先端が薄くなるのです。

Dsc00652 Dsc00656

手ヤスリ掛け

次に裏刃をヤスリ掛けして平らにします。ここではディスクサンダーではなく手でヤスリ掛けします。材料はすでに焼きなまされているのでヤスリがかかります。

(材料によっては焼きなましを数時間掛けて徐冷しないと焼きなましできないものもあります=SK3等)

Dsc00667 このように台の上に固定して作業してください。刃先から元まで満遍なく均一に平面になるように掛けます。

刃付け

裏刃を削ると次はベベル(斜めの切刃)をつけます。刃の幅の半分ほどを斜めにディスクグラインダーで荒削りします。

Dsc00659 *皆さんの作ろうとするtwca camと写真のものはベベルが逆になっていますので誤解のないようにしてください。今回は裏刃側をスプーンを削る時に木に当たるような刃のつけ方にします。

ですから右利きの方はベベルを写真とは反対側につけてください。

まず角の部分を斜めにさっと一なでします。つぎに同様の角度でさらに幅広く削り取ります。

Dsc00660 このようにして刃幅の半分まで削ります。ただし注意しなくてはいけないことは徐々に刃ができてきて材料の厚みが刃の先で削り取られていくわけですが、けして尖らせずに1mm弱ていど厚みを残しておくことです。

マジックなどで着色し削り作業を均一にしてください。多くは山なりに盛り上がったベベルになりますが、少なくとも平らにしてください。

Dsc00665 Dsc00662

さらに先ほどのように手ヤスリをかけてベベルを仕上げます。

曲げ

一つのポイントはどこを最初に曲げるかです。そしてさらにどう曲げるかです。

今回はハンマーを使い差込と刃の元の境目の所を最初に曲げることにしました。

Dsc00764

Dsc00767

写真の赤く塗った部分に火を集中してあてて赤めます。

このようにくぼんだところを利用してたたいて曲げます。大事なことは差込は絶対にたたかないことです。もしたたくと差込が曲がってしまいますから。もちろんそうなった場合たたいて修正はできますが。たたく場所は刃の元の部分です。刃はマッ平な裏刃側です。大体25度前後曲がれば良いでしょう。

うまく曲がったら次は刃を曲げます。

今回は先端からです。

Dsc00770 曲げたい部分を主にあぶって赤め(赤めるときの色は明るい赤色ほどにしたほうが良いでしょう。がんがんたたかず少し力を加減してたたいてください(刃が薄いし力を入れてたたくときつく角がついてしまいますから)。

Dsc00771 次に刃の中央部分にかかります。同様にあぶってたたいていきます。

そういえば力を加減するためにハンマーも軽い物を使うと良いでしょう。

Dsc00774 大まかなカーブができたらカーブの調子を整える意味で再度あぶって軽くたたいて整えます。

この時に曲げたカーヴがそのままスプーンのくぼみの形になります。ですからゆるく浅いカーブにするとボールのくぼみも薄く浅いものになります。もしこのカーヴをきつく作るとくぼみは深いものができます。さらに浅いものもできなくはないです。

ただ今回はそういったことにこだわらずまず試してみてください。一つ作って感触を確認すれば第2、第3のトゥーカ カムには異なるヴァージョンができるでしょう。写真のカーブではそれでも通常のスプーンができる程度のカーヴになると思います。

なお刃渡りがあまり長いと力が入りにくくそのため使いにくくなるので そのときには先端を折り返してクエスチョンマークのようにすると良いでしょう。こうすると折り返してある部分をスプーン削りの作業に有効に使えるのです。ただしそのことばかりにとらわれるとかなり小さなカーブになります。もしこのような折り返しの刃にするのでしたら材料の長さををそれなりに長めにしたほうが良いかもしれません。

焼き入れ

焼入れは前回のスプーンカーヴィングナイフの要領で鮮やかな赤い色まで熱したっぷり入った水の中に間を開けずに即座にポチャンと落とします。

焼き戻し

焼き戻しもスプーンカーヴィングナイフのやり方で180度ほどの温度で30分ほどてんぷらします。

注意点

火事 怪我 やけど 事故。

焼入れのときに刃先の薄い部分をバーナーで間近にあぶると刃が加熱しすぎて具合が悪いので背中の厚い部分から火を当てると良いでしょう。もし火力が弱ければ反対に刃先の薄い部分を集中してあぶって鮮やかな赤い色になり、なおかつ背中の厚みのある側がその温度に達しなくても良いと思います。

刃の先端と差込の位置関係は写真のようにしてください。つまり差込の線上に刃先の先端がおよそ位置するようにします。写真の刃先は少し前に出ていますが おそらく許容範囲ないであろうと思います。

柄もスプーンカーヴィングナイフと同様に作ります。

Dsc00775

次回これに関連して研ぎを多少ご説明しようと思います。

お断り

私は鍛冶屋の専門家ではありません。どこか間違いなどあるかもしれません。もし疑問点 間違いなどありましたら指摘していただけるとありがたいです。

また今回は できるだけ皆さんの手の届く範囲での刃物作りを目標としましたので多少の手順や不適切などあるかもしれません。

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