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2008年9月28日 (日)

スプーンカーヴィングナイフ作り

        スプーンカーヴィングナイフ作り

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         スプーンカーヴィングナイフはスプーンなど手ごろな大きさの木の作品を削るためのナイフです。ハンドル=柄が手になじんで使いやすく また刃渡りが比較的短いものです。

今回は金工やすりの中古をナイフの材にして作ります。

今回の刃物は片刃ではなく 左右に切れ刃をつけた両刃、つまり断面形状が楔状に左右シンメトリーになったものです。

材料、用意するもの

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金工用ヤスリの使い古したもの

道具 ディスクグラインダー 砥石など

ヤスリのチェック

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ヤスリは硬い金属を削る、という意味からさらに硬い鋼材を材料として作られているということで伝統的に刃物に流用されてきたようです。

ディスクグラインダーに拠る火花でその材質を確認しましょう。Dsc00550

Dsc00553 火花はその明るさ、量、長さ、形状によって鋼の素質をある程度把握できます。炭素鋼はおおむね明るく 量が多く 比較的短めで、写真のような形状の火花が確認できれば材料として使えます。

ヤスリの目落とし

ヤスリにつけてある目を落とします。左右と片側の端にある目を綺麗に落としてください。この目はいわばキズですからナイフにとっては良くないものなのです。必ずヤスリは固定して またディスクグラインダーの使用は安全と事故防止に勤めてください。

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ナイフの刃の型紙

この目を落としたヤスリの半分がナイフの刃になります。

ヤスリの大きさに合わせて紙に線を引きその中に刃物の形を書いていきます。

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Dsc00552刃は5~6cmほどで良いでしょう。差込はそれより少な目の寸法で良いでしょう。

次にこの型紙にそって材料にマジックで形を写し取ります。

刃の整形

マジックは消えやすいので まず差込と刃の間の方の部分をディスクグラインダーで削っておきます。次に刃先の削り取りです。ディスクグラインダーの刃を刃先からマジックの線に沿ってなぞっていくように削り取ります。

大まかに形ができましたら もう少し丁寧に刃先や刃全体の形を整えます。この作業でほぼ刃の形状は完成してしまいます。

先端を薄める

刃先は根元に比べ薄くなっていくようにします。

このためにディスクグラインダーをずらしてかけて先端が一番回数多くかかるようにします。つまり刃の全長にわたってまず一回かけ、次に半分ほどから先端までかけ、さらにその半分ほどから先端にかけるようにします。こうすると先端が一番多くディスクグラインダーの回数をかけることになるのです。同じやり方で同じ回数を反対側の刃にもかけます。

刃付け

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いよいよ刃をつけます。刃の角度は30度以下、できれば25度以下が良いでしょう。グリーンウッドワークで扱う材木はほぼ生の木で 柔らかいので角度がすくない薄い刃でも刃持ちは良いと思います。幅が1cmほどのヤスリの材料でしたら 半分つまり刃の幅を5mmほどその長手方向につけると25~30度くらいになると思います。ですから刃の境目をマジックで記しておくと良いでしょう。ディスクグラインダーで慎重に整形した刃先に斜めに刃をつけていきます。ディスクグラインダーは腕先を体につけて体ごと動かすようにすると安定した作業ができると思います。必ず根元から刃先に向ってなでます。途中でやめたり一箇所だけかけることはしないことです。このようにして材料の厚みの部分は3mmの半分の1.5mm以上に削らず1.2mmくらいにしながら先ほどのマジックの線のほうに切削を進めていくのです。同様に反対側も削ります。

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この時の失敗の原因の一つはディスクグラインダーがどこを削っているか良くわからない点です。そうならないようにクレヨンやマジックでそのたびに着色してディスクグラインダーがどこを削っているのか確認するのは良いことです。

注意する点  ナイフの切れ刃となる部分はほんのわずかに削らずに残しておくこと(1mm以下です)。

材料の切断

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さて次に最初にひいた線の部分で材料を長さに切断します。きちんと固定してディスクグラインダーで線の所から切り取ります。

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次に差込の部分を削り整形します。少し差込の先端にテーパーにしてください。差込の元の部分は4mmほどの幅でいいでしょう。つまりこの材料の厚みが3mmでそれよりすこし大目に寸法を取ります。

焼き入れ

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この工程はもしディスクグラインダーによる切削の作業で材料が熱による材料の熱変化を起こさなければ不必要な場合もありうるとおもいます。つまりざ材料が以上に加熱しなければそのまま焼入れをせずにナイフとなるかもしれないということです。この時ディスクグラインダーによる切削変色が材料に起こる場合は焼入れをするべきでしょう。

道具 ガストーチ、水のたっぷり入ったバケツを焼き入れ作業場所のすぐ脇に置いておく。

最近はガストーチがDIY店で安価で購入できます。ナイフの材料の質量がわずかですので加熱には充分可能です。ペンチなどで差込の端を持って加熱していきます。材料がすでにナイフの形状になっていますので加熱の仕方に注意してください。つまり材料のとがった先端や刃先は薄く熱が逃げることがないためにすぐに必要以上に赤まって材料をだめにしてしまいます。このため材料の太い部分、つまり峰側の先端よりずっと下の辺りを中心に加熱します。かなりデリケートになってください。

こうして切刃の全体が加熱できればいいです。色は徐々にほんのり暗く鈍い赤から 鮮やかな赤、次にオレンジ色になり その次には明るいオレンジになり 徐々に黄色みを帯びていくのです。焼入れのタイミングは赤色、これは800度前後です。鈍いわずかな赤そして暗い赤、その次の明るい赤です。

刃全体が均一な赤色になったら即座に傍らの水の入ったバケツにつけます。 私は今回台所のガス台でやってみましたが うまくいきました。

数十秒水につけて材料が冷たくなれば焼入れの終了です。この工程では写真を撮ることを忘れましたのであしからず。

焼き戻し

焼入れされたままでは刃物としてはもろいので粘りを持たせるために焼き戻しを行います。ここではアマチュアとしてなるべく現実的なやり方をしますが、いわゆるてんぷらです。油は食用の油でかまいません。てんぷらで多少高めの温度、つまり180~190度で30分ほど材料をてんぷらします。時間と温度がポイントです。

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この焼き入れ、焼き戻し作業は かなり専門的であり理想的な作業ができるかどうか難しいところでありますが、あえて失敗を恐れずチャレンジしてみましょう。

ただし火の扱いのため事故や火災には充分ご注意ください。責任は本人以外誰も終えませんから。

さあここまでくればひと段落です。

柄作り

このスプーンカーヴィングナイフの柄は手の大きさにあった使い心地が良いものであるべきです。手ごろな大きさの柄は作業の際の力を刃物にスムーズに伝えてくれます。

自分で柄を握って違和感のない形状が必要になります。

材料の木はできれば乾燥していない生の木、まだ切られていない木の枝や すでに切られてしまった木の一部でも良いでしょう。とにかく生の木を選んでください。知り合い、友人 ご近所など あるいは 里山関連の団体などチャージしてみてください。あるいは自治体など 街路樹の伐採なども良いかもしれません。

材料になる木のポイント

枝であれば直径10cm程度のまっすぐな部分を30cmほど、あるいは太い木のやはりまっすぐな部分30cmほどです。

枝の場合は まず斧などで半分に(年輪の中心を含む線で2分割)します。そのうちの一本を材にします。

太い幹の場合も同様に2分割しさらに割っていって直径5cmほどの丸棒が取れる太さに割ります。

荒木取り

こうして直径5cmほど、長さ30cmほどの材が準備できましたら、よく観察してその両端のうちどちらかをナイフの刃を差し込むほうに決めます。用心してその差込にするほうの端を5cm程度(場合によってはもう少し)切り落とし木口に割れがないようにします。この切り落とした木口がそのままナイフの差込になります。この木口を中心にして直径3cmほどの円をしるします。

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荒削りの際に手斧と台(チョッピングブロック)手際よく作業ができます。

2006_picture_of_the_1_day_course_00 チョッピングブロックでの作業

このように材の木は利き腕と反対側に斜めに持ち手斧は垂直に上から下へ振り下ろすようにし、材のしたから少しずつ上に削って生きます。材の長さの半分まできたら上下をさかさまにしてまた同じように下から上に半分まで削ります。けして半分以上上を斧で削らないでください。また左手は木の下に隠して斧の刃が当たらないようにしましょう。刃があたると大変なことになりますから。

木口が直径3cmほどになりましたら木口から下の部分を少し太めに削り残しておいてください。

差込の穴あけ

先ほどの工程を途中でやめて先に差込の穴をあけます。穴の直径はナイフの差込の根元の寸法例えば3mmX4mmであれば4mmほどの穴でいいでしょう。深さはナイフの差込の深さ(ここでは4.5mm)より多少多目で良いです。木にそってうまくまっすぐにあけてください。

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次に木を持ち手の長さに切りますが最初は少し余裕を持って長めに切り落としてください。12cmほどになると思います。

今この木を手にとって見ると木口が細くしたが徐々に太くなっている状態だと思います。

持ち手部分の削り

先ほどあけた穴にスムーズに差し込めるものを探して(長めの釘やストローなどまっすぐなもの)差し込んでみます。そして木と刃物に見立てた釘やあるいはストローがバランスよく収まっているか確認します。もし偏っていたらその方向を削ったりするためです。

差込の向き

もし柄を綺麗に円筒形に削ると柄は生木で 乾燥して縮んでくるので 断面の形状が楕円になります。手になじみやすいということを考えると年輪の方向と刃の平面の方向が直行するように差し込むと持ちやすくなります。(木は年輪方向に縮みます)

この差込の向きを考えてどこを上にするかを決めてください。

柄の形

普通人の手は中指が長いものです。そして次に人差し指や薬指が来て最後が小指です。

人の手は何かを握ったとき指がぐるっと握るものを一周するほうが力がかかりやすいのです。このため柄は真ん中が太く上下は細くします。

削り作業

さあ、まだ刃の付いていない柄を手にして太い部分を削り落としていきます。ナイフで、時には手斧で削っていきます。木口は直径2cmほどまで落としてください。そしてその木口の角は面取りしてください。

刃をすげる

ある程度削りましたらいよいよ刃を差し込みます。柄の上下を確認して差込をします。最初は斜めに傾いたりしますのでまっすぐに修正しながら徐々に刺していきます。ある程度入りましたら柄のおしりを木のハンマーなどでたたきます。この時刃が飛び出しても良いように布などクッションを置いてください。また必要であれば左手にはタオルなど柄に巻きつけて持つようにしてください。慎重に、ゆっくりとたたいていきます。もし硬くて差込が入っていかないようでしたら一度刃を抜いてより大きな穴をあけなおしてください。

仕上げ削り

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刃が差し込まれるとナイフを実感します。

この状態でさらに生まれたてのナイフを手にしてみて 違和感を感じる部分を削っていきます。この時点で柄の最終的な長さを決めて 切り落とします。さらにおしりを面取りします。

これでスプーンシェービングナイフ作りはおしまい。

研ぎは皆さんで行ってください。

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