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2007年7月30日 (月)

チョウナはつり

考えてみると チョウナはその形が 縄文時代の 斧に似ています。現代のチョウナの柄の部分は曲げ木ですが、大昔の斧のように幹と枝別れの部分を柄にして 先端に刃物になる石器を横に付ければそれは チョウナとそっくりです。
おそらく チョウナは 非常に古くから受け継がれてきた木工道具であろうと思います。
いつか テレビで 太い立ち木を倒して木製の 昔ながらのカヌーを作る様子を見たことがありますが、やはり 柄の短い非常に原始的なチョウナのような道具で 木を削って丸太の中を彫っていました。もちろん木は生木でした。 おそらく 鉋 鋸以前の木工だと思います。
鋸がなかった昔は 材木は生木を裂いてとっていたのであり、その際に チョウナで 出っ張りをはつって製材したのだろうと思います。つまり 鋸で せかせかとたて挽きして 製材したのではなかったのです。
鋸は 製鉄技術がある程度のレベルにいたって初めて形になる道具だと思います。
チョウナを 鋸で切って製材した板に当てる必要はありません。また チョウナの刃は まっ平らであって、チョウナの刃を そののこ挽きした平らな面に当てると 刃の角があたって違和感のある痕が残ってしまいます。チョウナは 元来 平らにするというより 裂いた木の出っ張りを落とす道具なのでしょう。
鎌倉時代前後に 鉋 たて挽きのこが 大陸から入ってくるにともなって 木工のスタイルにも新しい傾向が出てきて より洗練された 平面、 滑らかな仕上がりが受け入れられていったのだと思います。

そんな観点から考えると グリーンウッドワークはある意味では 鎌倉時代以前の木工のスタイルを持っているともいえるのかとも考えてしまいます。
大昔の時代の木工だから、たいしたことはないかというと 反対に現代に生きる私達にとってチョウナではつった木肌は あまりに迫力があり 木の存在感が圧倒的に私達に迫ってくるのです。
今回 急遽 作業台を生徒が作ることになり 非常に原始的なやり方を中心にして つまりチョウナで削って作り上げました。
汗、汗あせの作業でしたが、出来上がったものは 非常に強い存在感を私達にアピールしてくるものです。

材は 津久井の クヌギ(半世紀の樹齢で 非常に素性が良く 目が通っているもの)で、上に乗せる天板の大きさを変更できるように特殊な構造にしました。2007_picture_of_the_work_bench_and_




2007_picture_of_the_work_bench_an_2チョウナがけは 非常に単純な作業であります。しかしそれゆえか とても心惹かれる作業です。ただ 柄は現代人にとっては ちょっと短く、腰を痛めそうです。

2007_picture_of_the_work_bench_an_3こういった角材は クヌギを裂いて チョウナではつって作ったもので、帯のこや バンドソーで挽いたものではありません。ホゾ組みして脚のセットの完成です。

2007_picture_of_the_work_bench_an_4斜めに ブレース つっかえをすると完璧な強度をうることができます。この工法は英国の木造の工法でもあります(最後に 抜け落ちを防ぐために木の杭を打つのです)。

2007_picture_of_the_work_bench_an_5あと天板を載せれば 作業台の完成です。
この作業で使った道具は ホゾを彫るための電動ドリル(手動のクリックボールとドリルの刃がうまくつかえず)、チェーンソー(太いクヌギを切断する時に使いました)以外は 単純な チョウナや ハンマー ノミ 鋸などです。 合計 5日間の行程になりました。かなりくたびれはしましたが 満足はこの上ないものでした。
お疲れ様でした。(脚の太さは 8X10cmほどです)



2007_picture_of_the_work_bench_an_6




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2007年7月19日 (木)

Mさんの作品 小テーブル

先日 青森のMさんが シェービングホースを自作され、そのシェービングホースを使って小さな カップ置き用テーブルを作られました。ここに御紹介させていただきます。
この小テーブルはどこか かわいい動物的な印象を受けるものですね。 
Uma
ブログでは細かな寸法等載せていませんでしたが素晴らしいシェービングホースを完成させたものだと驚いています。


Pict0199かわいい小テーブルができましたね。なにか小動物を思い起こす形です。
作り終えての一杯は きっと格別だったことでしょう。



Sakuhinn1チェーンソーの刃のメンテナンス用鑢の柄などだそうです。



こういう造形は 作る方の造形の感性が出てくるものです。
どこを削ると自分のイメージになっていくか、それを考えながら木と対話しながら作り上げていくことになり 結果として作り手の形が姿を現すのですね。
有難うございます。

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良い材 そうでもない材 そしてそれを見る目を持っていること

良い 木材 = 良い生木
良い生木といったものがあるんでしょうか?材料としてその素性が良い生木、木の細胞自体がよい木。
生木を 裂いて、刃物で削ってみるうちにその木の素性が見えてきますが、確かに材の良し悪しを感じます。

 しかし通常乾燥した木ではそういうものの ニュアンスが なかなか理解できないかのも知れません。
これは おそらく 書物などを通しての情報として知ることではかなわないことなのです。
生の木であればすべてが 良材かというとそのようなことでもなく、 ある木を半分に裂いてみたら なんだか 心が曇るような材であったり また まれに見る 惚れ惚れするようないい木であったりするのです。 
大事なことは つまり 木にも=人間にも言えることなのかもしれませんが 惚れ惚れするいいものと 力が抜けてしまうような 材とがあるのだということです。そして そのようなことを関知しうるのが グリーンウッドワークでもあるということなのです。
木は プラスチックや 金属のように 無機質ですべて同じ材料であるということはないということを 知ることなのかもしれません。

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2007年7月18日 (水)

生木の保存

日本の 梅雨、夏の気温が高いせいで グリーンウッドワークは 梅雨が一年の 終業式になってしまいます。残念なことです。
アメリカのグリーンウッドワーカーのアイデアの一つに 水の中につけておくというのがありますが おそらく よどんだ水では 木は腐っていくのではないかと思います。ですからよほど条件が整っていないととてもではないけど現実的には無理です。 個人的には 洞穴の中に貯蔵する手もあるかと考えていますが コレもやはり 非現実的です。

そこで 考えた方法が 冷蔵庫でした。 もし 生木を 生野菜と同様に考えるとしたらやはり冷蔵貯蔵するのはいい方法だと考えたのです。 1月のテストをしてみると いい数字が出ました。

数字とは つまりこういうことです。生木は おおよそ 乾燥すると30パーセント体重が減るのです。つまり 生木で 100グラムあるものは 日常生活の中での乾燥状態になると70グラム前後になるのです。 テストの結果、(テストピースは桜なのですが)このテストピースが 冷蔵状態で乾燥するまでには かなり時間を遅くできるということでした。また私見ですが テストピースを新聞に包み さらに その新聞紙を 定期的に水のスプレーなど施すとかなり有効だと思います。 詳しい データーは いちいち採っていませんが 手ごたえありです。(おそらく 自然対流= ファンによる送風をしないタイプの冷蔵庫のほうが いいようです)
もし良い生木の材が手元にありましたら 新聞紙に来るんで スプレーかけて 冷蔵庫にとりあえず締まっておくといいと思います。
お試しください。

ただし このようなやり方が グリーンウッドワーク本来の考え方から見るとちょっと首をかしげるような部分ではありますが 、 でももし 冷蔵貯蔵でなくても 新聞紙に包んで 定期的にスプレーするだけで かなり 乾燥を防ぐことができると思います。お試しください。(みすみす 良材をおっぽらかして 乾燥させるよりどれだけいいでしょう。)
冷蔵庫サイズの生木は 椅子のパーツにはふさわしくないかもしれませんが スプーンなどの小物には 有効です。
2007_picture_of_thewood_in_green_001その冷蔵庫で 1ヶ月テストした木片 右は むき出しで保存
左は新聞紙に包んで定期的にスプレーをしたもの



2007_picture_of_thewood_in_green_002むき出しの木片 1月後でもまだ水分が残存しています



2007_picture_of_thewood_in_green_005さらに新聞紙に包むと乾燥が 緩慢になります。

いい木を手に入れたらやむを得ずこういった材の保管もお考え下さい。
わたしも こうやってスプーンの材をキープしています。 

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2007年7月14日 (土)

秋からの日程 

やがて 暑い夏がやってきます。 その暑さの向こうに やがて 待望の秋が控えています。
その秋から 今年の秋のコースが始まります。例年通り 新しい木が入荷する前は道具周りの準備をします。 主に ポールレーズ用のノミや ドローナイフ ハンドアックスを調えていきます。
道具が一揃えできましたら 今年もまた まず ドローナイフ仕上げのスツールを 4~6回の日程で作り始めます。
木工をやってこられた方も またまだ鋸すら使ったことがない方も興味のある方は是非御参加ください。
今年は 立ち木の伐採見学からスタートして スツールを作る予定です。
行程に弾力を持たせ、初心者の方でも無理のないように完成できるようにしました。
詳しい内容は ホームページホームページ    をごらんください。

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2007年7月11日 (水)

グリーンウッドワークの 肉体的意義

ポールレーズで作業することは 力をかけて脚の腿、ひざ 足首の屈伸をやることになるのです。こうやって 長い時間にわたって脚を動かすとその動作が血管を圧迫することでポンプ作用が生じます。
つまり ポールレーズの作業をすることは 体中に血液を送り届け 回収することを促進するのです。

今日、わたしはポールレーズを半日やり、頼まれものの小テーブルの脚を4本削りました。
それは大体3時間ほどですが、3時間ポールレーズをやるっていうことはどういうことか?
3時間もそういった作業を継続すると、 つまり昼食のために木工を中断して30分 経過しても 心臓が 弾んでいるのです。 コレはまさに有酸素運動です。
ですから 体中に血液が 勢いよくもたらされ くたびれた血液を回収してくれるのです。

このような作業は 心地よい疲労を伴うものですし、健康を増進するものだと信じています。
グリーンウッドワーカーは体中をバランスよく使うのでやればやるほど元気になるのです。
イギリスの グリーンウッドワーカーの大先輩である 椅子職人フィリップクリセットは 齢90を越えて他界する間際まで椅子を作り続けていたそうです。

グリーンウッドワークは 人力によって行われる木工ですから、 しかもバランスよく体全体を使うようにできていますから やればやるほど 体は丈夫になっていくものだと思います。
お金を掛けずに しかも努力が 形となってあとあと残っていく 有酸素運動となれば こんなに優れた運動はないと思います。
作業をストップして30分以上経っても血管がドキドキ脈打っているんですから。
2007_picture_of_the_exercise_and_soul_of

いかがでしょうか。 オートバイや 自動車に対する自転車のように自分の肉体を使って作業をすることの意義、考えてみませんか?

2007_picture_of_the_exercise_and_soul_of_1

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2007年7月 5日 (木)

鉋以前 こんな木の削り方

私達は 通常 木の面を かんなを使って ならして平面にします。ほとんど そのことが 習性のようになっているので、 平面は無意識のうちにかんなで 削りだそうとします。かんなという道具が 出現したことは おそらく時代背景に そういった平面を要求するようになった段階が前提としてあったのではないかと思います。
ではかんな以前の道具はどんなであったろうと思います。ヤリ鉋でしょうか、チョウナでしょうか。案外今回の作業のような感じで削っていたのかも。

で、そんなことを考えながら 今回 コーヒー盆を作りました。削りは かんなではなくて 大きな 丸ノミです。ですから かんなで削ったような 均一な平面は 出ません。
丸ノミで このような作品の削り作業をすることは ある観点からするととてもスリリングでもあります。 ノミを持つ手の角度を均一に保たないと線の通った削り面は出ませんし、かといって油断すると みっともない削れ方をするからです。
しかし出来上がってみるとこのコーヒー盆 非常に魅力があります。なんというか 表情が緊張感を覚えさせない というか安堵感が漂います。

現代という 緊張を強いられる社会の中では こういった 緩やかな線も違った意味を持ちうるのかもしれません。私達の今の社会自体がまさに鉋で均一に削ったきれいな面のようであり 遅刻や 速度制限や 帳簿上のミスや約束を守ることなど あいまいなルーズなことが許されない時代なのです。
2007_picture_of_thewooden_plate_001_1
目の通った山桜 を生木のうちに裂いて木取りします。


2007_picture_of_thewooden_plate_005コレ位の大きさです。



2007_picture_of_thewooden_plate_008_1あとは簡単。大きな丸ノミ、固定のためにクランプなど。そして たっぷり時間をかけられるだけのゆとり。



2007_picture_of_thewooden_plate_012出来上がってみて 感じるのは かんなではなくて ノミでこのような あいまいな平面を作ることは 案外 難しいということです。そしてさらに かんなという道具の持つ キャラクターを 違う観点から見始めるのです。



2007_picture_of_thewooden_plate_015_1前回のスプーンと 今回のコーヒー盆

結構良いコンビネーションですね、 手前味噌ですが。

この作品の作業には 大げさな道具ぞろえは 不必要です。

鉋は 言わば シンプルではありますが非常に奥が深い機械としての側面を秘めています。鉋の台で削ると自動的に木の出っ張りのみを刃が捕らえて削ってくれるのです。
鉋とは そんな意味から考えると 出っ張りを削り取る機械なのです。ところが のみを使って手で削ると自動的に出っ張りのみをはつり採るような事はできません。鉋のは刃は鉋台に固定されていますから 刃がぶれることはないのです。それに対して手で削るとはまさに手ぶれの連続でもあります。それでもでこぼこなリの平らを(コレが鉋ではできません)出すことができるのです。

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2007年7月 1日 (日)

スプーン作りコース

先日 一日 スプーンコースをしました。これまでに紹介した 様々な道具を使ってみました。
生徒さんは 女性2名です。木工歴はほとんどないとのことでした。
まず道具になれてもらおうということで お箸を削りました。ミニドローナイフはさすがに使うのも見るのももちろん初めてのこと。でも10分もすると少しぎこちなさがなくなってきました。
昼前には スプーン作りに取り掛かることが出来ました。2007_picture_of_the_first_spoon_course_0
コレまでに用意した道具、スプーン用ホース ナイフ類は かなり有効で 危険と 疲労をかなり軽減し、削る楽しさ 集中の楽しさを感じてもらえるものであると感じました。もちろんサポートする場面もかなりありましたが 楽しい時間をすごし 出来上がった箸でラーメン、スプーンで ヨーグルトを皆さんといただいて楽しい時間を過ごすことが出来たのです。

2007_picture_of_the_first_spoon_course_0_1



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もちろん 材料は 生のサクラです。 出来上がったものは 品があってとても素敵です。

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