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2007年3月28日 (水)

グリーンウッドワークと里山

グリーンウッドワークの材料である広葉樹は身近な里山の木です。
山に囲まれた日本は 木材の宝庫ともいえます。
ここ津久井も例外ではありません。いまでは ”黒木”=針葉樹の山が多いのですが 50年ほど前は昔ながらの山の姿をしていたのです。終戦以降の木材需要の増加(戦争で焼け野原となった都会の復興)、そして その後の 外圧による 木材輸入自由化が 針葉樹のあれた山を生み出すことに拍車をかけたのです。木材価格において外材に対して負けてしまうのです。そのため手入れすらされなくなってうっそうとした陰気臭い 怖い山になってしまいました。
現在里山という方向性がにわかに活気付き日本に広まりつつあります。
こんなとき まさにグリーンウッドワークは このムーブメントにうってつけの木工といえると感じます。
グリーンウッドワークは木工房を里山の中に移動できる木工です。 電気要らず、ですから。そして シンプルな手道具をワンセット持って山に入れば作品ができるのです。
里山の木工というわけです。
これまで木工は 山から木を切り出して 製材工場に運び込んで、乾燥のために貯木され町の木工工場へと出ていく方向を進んできました。その移動距離は 何十キロあるいは何百キロ あるいは 海を越えてきたりもしています。段々木のある山から遠いところに木工が行ってしまったのです。
グリーンウッドワークはそれとは反対に徐々に材料の木の生えていた里山に近づこうという方向を目指しています。それと同時に 大型機械による 大量処理方式から 小型少量生産方式になってきました。
グリーンウッドワークが いずれ 炭焼きやしいたけのほだ木やマキストーブの薪とともに里山の木の重要な担い手となって、それによって里山が再生する日が来るのでしょうか。最近まじめに 里山の中に このような木工作業場をつくって生徒と楽しい木工教室をやろうと考えています。
もちろん その設備は 里山の広葉樹を建材とするつもりです。

津久井の冬の朝
2006_picture_of_the_winter_landscape_005
Dongri_007湖の朝



2006_picture_of_cleaving_001里山の産物


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2007年3月19日 (月)

アームチェアー

様々な理由があるのでしょうが 私達は アームチェアーというものにはあまり縁がありません。多分経験的には ソファーのほうが身近でしょう。
たとえば夕食後のくつろぎの時間帯、などTVや レコードを(今はCD?)聞いていたりしますがこういう場面で ぴったりなのはアームチェアーですね。どっかり坐ってくつろげます。

アームチェアーには 御存知のようにアームがついています。 アームチェアーに坐りなれると もう手放せなくなりますよ。 ただアームがついているだけで 普通のイスに比べて格段にくつろげるんです。
アームにひじをついて考え事をしたり 居眠りだってできます。

そんなわけで今回ちょっと大きすぎるほどのアームチェアーを作りました。 おそらく慎重が180cm以上の人向きでしょう。(脚が長く私が腰掛けるとかかとがちょっと浮く?そんな感じです。 でも今は このまま足台を足元において使っています。
通常 後ろ足と 背板は 真っ直ぐな木を スチームで曲げるのですが このアームチェアーは 背板のみスチームで曲げました。 後ろ足は 曲がった木をそのままシェービングホースで削ったものです。また脚の横棒(ラング)もシェービングホースで仕上げてあり、木の自然の曲がりがそのまま出ています。グリーンウッドワークではこのような生成りも得意です。
イス全体の線はご覧のとおり微妙に揺らいでいます。 それは シェービングホースとドローナイフを使って加工するからです。反対に言うと 幾何学的な直線や曲線は出来ません。
2007_picture_of_the_large_size_armchair_写真  右が新作のデカアームチェアー。左がうちの通常のオリジナルデザインのアームチェアーで、背板が背中の高さまでしかありません。
それに控えこのデカアームチェアーはなんと大きいことでしょう。

2007_picture_of_the_large_size_armchair__1このアームチェアーにどかっと腰掛けて憩いの時間を過ごすのです。


このアームチェアーは すぐに簡単はに作れませんが、ある程度グリーンウッドワークになれてくればできます。日程は やはり7日ほど掛かるでしょう。
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2007年3月13日 (火)

再度 ジャンプアップについて

グリーンウッドワークで作業する時の 寸法の捉え方は 通常の木工における寸法感覚とは随分違うものです。
おそらくそのような感覚は もともと寸法の精度が必要とされる場所が違うというところからきているのではないかと思うのです。
グリーンウッドワークでその寸法に非常に敏感な場面はどこかというとそれは ホゾの部分です。その他の場面では 例えば 極端に言うと 脚の長さが 右左で7ミリ短くなっても 何とかなるし、大体 足の太さがまったく同じになる あるいは まったく同じサイズに加工することに意味があるのかと思うようになることがあるのです。
ここら辺から グリーンウッドワーカーは通常の木工家の見方を飛び越えてしまうんです。大体 いすづくりに設計の厳密な図面がないし、当然図面どおりに削ることなどないのです(かといって大雑把なデザイン画を書くことももちろんありますが)。また なんで右前脚と左前脚が 完全に同じである必要があるのか?とか 多少違っていても何にも問題なんかないとか考えはじめ、 挙句の果てに イスの脚が 4本とも違うデザインなんていうのもいいかもしれないと考えてみたり、あるいは グリーンウッドワークでない 普通の木工の作品を見て 非常に堅苦しい気分になるのです。(失礼ですが)

グリーンウッドワークはおもにイスを作り、箱もの(キャビネットなど あるいは 指物など)とはジャンルが異なるということも関係するのですが、 あまりびしっと行き詰るような迫力感がなくむしろ 優しい親しみが湧いてくるものです。

ですからあまり 直線定規とか寸法とかにとらわれず、大まかな全体から物を見ている感じで、 さらに言うと あまりこまごましたことに神経質にならず 目先を追わず 5年10年先あるいは50年先を考えているようなところがあります。
ですから そういった目でもう一度家具を見直してみてください。
でももちろん こんな言い方をするからといって でたらめなイスを作っているわけではないのです。

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2007年3月10日 (土)

生徒さんの作品

昨年秋から週末ごとに教室に通っている 生徒さん。 今回第3作目の スツールを作り上げました。 スタート当時はノミの柄を挿げ替えたり 様々な 道具、小道具を作ったりで ゆっくりやってきたのですが ここに来て徐々にしっかりしたものができ始めてきました。それと同時に木に対する考え方や 知識も徐々に一貫したものとなり ゆっくりとしたスケジュールにも換えがたい意味があると感じるものです。
ポールレーズでも シェービングホースでも作業の手際がよくなってきて かなり作業時間が短くなってきました。
特に今回のスツールは ポールレーズで仕上げてあり、いかにも見栄えがよくでき、実際にかなり立派なスツールになりました。
2007_picture_of_the_lathed_stool_course_脚にドリルでホゾ穴をあけます



2007_picture_of_the_lathed_stool_course__1そこに横棒を押し込みます



2007_picture_of_the_lathed_stool_course__2一つの側ができ もう一つの側とつなぎます。



2007_picture_of_the_lathed_stool_course__3大体うまく角度を出しています。


2007_picture_of_the_lathed_stool_course__4骨組みが完成です。組み立て所要時間 約2時間です。



2007_picture_of_the_lathed_stool_course__5二人でやると 案外世間話しながら楽にシートを編めます。今回のシーティングは単純なぐるぐる巻きのシートです。



2007_picture_of_the_lathed_stool_course__6いかがでしょうか?これまでやってきた作業が一つに結晶して素晴らしいスツールが出来上がりました。
ほんの数週間前まで 山に生えていた木が材料なのです。midorinocraft@nifty.com
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2007年3月 4日 (日)

グリーンウッドワーク イスのホゾ組

今回は イスのホゾ組についてです。
通常 イスのホゾ組は ホゾ穴と ホゾ= tenon & morticeによって行われます。そして ホゾ穴は ドリルであけ、ホゾは ロクロで(ポールレーズ)挽いて作ります。昔のことはさておき、現在のドリルの刃でホゾ穴をあければ所定のサイズの穴をほとんど寸法どおりあけられます。 また ホゾも ロクロで挽くとこれも 10分の1ミリ単位の仕事ができます。
さらに このホゾつくりの作業は なれてくるとかなり簡単に早く作れます。

この丸いホゾ組みで イスの脚と横棒などをジョイントするのです。

イスの脚になるほうにホゾ穴をあけます。 生木のうちにです。
イスの横棒になるほうにはホゾをロクロで挽きます。こちらも生木です。

今回のホゾ穴の寸法は 16mmであけました。そして ホゾは 直径17.6~7mmでつくりました。もちろん材木は脚も横棒も生木です。ホゾはロクロで直径17.6mm~7mmに挽いて そのあとで乾燥させます。昔は乾燥に1年とかかけていたようですが、今は 時間短縮が必要な時には乾燥を促進するために乾燥器で数日で乾かします。(乾燥機についてはいずれまたの機会にしますが 電球を熱源にして簡単に自作できます)
脚のほうは 足の形に加工してから1週間ぐらいおいて 少し水分が抜けてからホゾ穴あけをするほうが安全です(安全という意味は、まるまる生のうちにホゾ穴をあけてよく乾いた横棒を差し込むと 差し込まれた横棒が 脚の中で 脚の水分を吸い込んで膨らんで 悪くすると脚がわれてしまうからです)。

それで脚にホゾ穴をあけて差し込むと 脚のほうはまだ乾燥中ですから少しづつ収縮していきます。一方ホゾはもうこれ以上収縮しない状態ですからこのホゾ組ですと抜けなくなるわけです。

ポイントがいくつかあります。
まず ホゾの寸法の収縮ですが、(ここで 木の収縮に関して知識が必要です)直径17.6~7mmのホゾが乾燥すると 年輪の線の方向に約1割収縮します、そしてその直角方向には3%前後縮みます。ロクロで直径17.6~7mmに削られた生木は乾燥すると ですから 年輪方向が16mmその直角方向が17mmほどになるわけです。
脚にあけたホゾ穴は乾燥すると 縦方向はほとんど変化しませんが 横方向に やはり1割ほど収縮するのです。
もう一つ大事なことは 目をあわせることです。その意味はつまり 収縮してオーバルになったホゾの長い方向と(年輪の線と直角方向) ホゾ穴の縦方向を揃えて押し込んでいくことです。

木は 気候 湿度に影響されて 収縮をしますが、問題なことはその膨らんだり縮んだりする方向を合わせることでゆるみを逃れるわけです。 簡単に言うと ホゾの年輪方向が縮む時 ホゾ穴の横方向が縮み、膨らむ時にホゾ穴も膨らむように目を合わせるということです。
いくらよく乾かして ホゾを作って組み上げても 膨張収縮を年々繰り返すうちに、目を合わせていないためにばらばらにサイズが変動するとゆるんでしまうわけです。
2007_picture_of_the_ditail_on_the_joint_脚(サンプル)に穴をあける= 前、横に鏡を置き、直角定規を当ててその直角を鏡で確認しながらクリックボールで空けます。


2007_picture_of_the_ditail_on_the_joint__1左が脚 右が横棒として考えてください。横棒は直径17.7mmほどにロクロで挽きました。もうしっかり乾燥してオーバルになり、現在は写真の寸法になっています。
木口にあるマジックの印は差込の際の目を合わせるための目安です。

2007_picture_of_the_ditail_on_the_joint__2このようなクランプを使ってスムーズに差し込んでいきます。差し込むとき先ほどの横棒の上部の印を脚の縦方向とあわせて差し込むのです。差し込み寸法は1インチです。

2007_picture_of_the_ditail_on_the_joint__3わかりにくくて申し訳ないですが、差し込まれた横棒の写真で見るこちら側と向こう側の写真では見えないほうにはほんのわずかに隙ができていますが 脚が収縮するに連れてしまってきます。


2007_picture_of_the_ditail_on_the_joint__4これは脚を上から写した写真です。矢印の方向に(年輪の線方向)徐々に収縮していきます。


こうして出来上がったジョイントは人がぶら下がっても抜けません。脚が乾燥すればするほどジョイントが強固になるわけです。

簡単に説明しますと、ホゾ穴が乾燥して縮む前に 乾燥して縮んでしまった横棒を差し込むわけです。このとき 脚のホゾ穴の上下は1ミリほど無理やりに押し込む形になるわけです。ホゾ穴の左右はぴったりか多少細いホゾでもいいです。

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