ポールレーズ=往復運動=リズム
ポールレーズというロクロは人力のろくろです。これは現在の旋盤などのご先祖にあたるものです。
原理を簡単に説明します。削りたい木片の両側を先のとがった金属ではさんで固定し、その木片にヒモをまきつけてそのヒモを上下させることで木片を回転させるのです。大昔の火おこしのやり方で弓を木に巻きつけて回転させるやり方がこれに似ていると思います。弓を横ではなく立てて上下に動かすとこの説明の感じに近いです。
そしてこの弓のヒモの片側を地面におかれた踏み板に結びつけ反対側をたとえば木の枝に結び付けて、人が踏み板を踏むと木片が回転し、脚をはなすと枝の反発力でもとにもどるというものです。
ポールレーズのポールとは枝木のことで 木の枝や竹ざおのしなりを利用して器の反転の動力を生み出しています。
脚で踏み板を踏み込むと木片が正回転してこの時に削るのですが、そしてその次に元の状態に戻ろうとして竹や木の枝がしなった状態からもとにもどろうとして反転するのです。
この正転と反転を繰り返しながら 器が挽かれていくのです。
通常現在のロクロは全て回転方向が決まっていて反転はしません。
昔のロクロはどれもこの往復運動=レシプロ方式であったろうと思います。
たとえば先ほどの木をこすって火をおこすあの原始的な火おこしでも木を回転させて摩擦熱を得ますが、直に手でやるにしても あるいは弓のような道具を使うにしても往復運動をしているのです。
まあ このような議論は今回の本題ではありません。
今回はこの往復運動がもたらすことについてです。
何度かここでの木工教室でこのポールレーズを生徒さんに挽いてもらってそれを見ているときに その見ている人が眠くなる、というものです。
つまりなぜかこの往復運動をする木片を見ていると眠くなるのです。往復運動は人間の呼吸や 鼓動に似ていてなにか無意識に見ている人の心の中に入ってくるものがあるのだと思います。
おそらく赤ちゃんがこれを見ていると眠るのではないかと思うのです。
目が回るのかとも思いますが 回転方向が一定の機械である現代のロクロはどうなんでしょうか、私は眠くなったことはあまりありませんが。やはり眠くなるのでしょうか?
またこの正回転と逆回転のコンビネーションはリズムであります。
削ることと、休むことを繰り返します。そしてその呼吸に合わせてフック(ロクロ挽き専用の刃物)を当てながら引き締めたりゆるめたりするのです。
ですからポールレーズはリズムであるともいえます。
これまでさまざまな人にポールレーズを挽いてもらってそれを傍らで見ていると やはりリズム感のある人が上手である印象があります。初めてなのにとても手馴れて綺麗に挽ける人がたまにいるのです。
ソーラン節、斉太郎節、会津磐梯山などなど 日本にもリズムのある歌があるものです。
リズム?木工がリズム?
代々 木工を家業にしている ある人がやはり 木工仕事はリズムだといっていました。
現在の電動工具は往復運動ではなく 一定方向であり リズムが作りにくいのかもしれません。
このような器も往復運動でリズムで挽いて行きます。
削りかすはどんなに長くとも片道の回転分だけです。
この1本1本がリズムの具現化したものです。
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